
11月のおととて通信
すっかり秋も深まり、朝夕は窓をあけると肌寒く感じるようになった。一年を通じて夕暮れを定点観測してきたが、「秋は夕暮れ」とよく例えられたもので、やはりこの時期の夕暮れには叙情的な色合いがある。以前、夕暮れを「生きた心地がしない」という比喩の反対、生きた心地を抱くひとときと書いた。夕暮れには世界の豊かさのすべてが詰まっている。それからもうひとつの魅力は、一度として同じ夕暮れは訪れないこと。毎日差し込む朝日も同じではないように。あるいは、弾き慣れた曲もまったく同じ演奏ではないように。
最近のことをいくつか写真と共に。
ふくいさんとセッション
アンサンブルでピアノを弾いてもらったり、満月カルテットでも一緒のふくいかな子さんと二人でリハーサル。即興で6セット、テーマなどの決め事なしに。
セッションははじまり方と終わり方をどのようにするか、いつも気を遣うものだが、この日はどのセットも自然と演奏することができた。ふくいさんといくつもの場を共有してきた経験を実感。
足元のペダルは今年のアンサンブルを境に減り続けていて、この演奏はほとんどルーパーひとつ。足元の機械の操作より、指先に感覚を集中させたい。
Autumn Winds
ののあおやまで開催された青山音ノ会「Autumun Winds」へ。美しい木々と小鳥のさえずり、子どもたちの声と晴れた秋の夕陽に照らされて、天国のような時間。プログラムはホルストからマショー、フェルドマン、そしてヴィラロボスまで幅広く。ヴォーンウィリアムズは秋が似合う。
星型の庭
星形の庭の公演のためカフェムリウイへ。軽食として公演をテーマにした咖喱山水のティファンの写真を…(それしか撮っていなかった!)呼吸のような緩やかで大きなグルーヴの周期に誘われて、身体が程よくリラックスする。もちろん緊張感の持続した空間の中で…その塩梅が絶妙で、終演後は一本の映画を観た後のような充足感に包まれる。
レコーディング
まもなく完成の某プロジェクト、絶賛レコーディング中。久しぶりに大音量のエレキギター。マイクは色々と試した結果57に落ち着く。このマイクは奥が深い。biasなど高品質のシミュレーターも使っているが、やはりアンプのマイキングには敵わない。手元のボリュームやタッチで音色をコントロールする、そういう繊細な技術がシミュレーターではごっそり抜けて落ちてしまう。